マイケル・B・ジョーダン版『The Thomas Crown Affair』予告解禁!『華麗なる賭け』再映画化が“富豪の道楽”を塗り替える

マイケル・B・ジョーダンが監督・製作・主演を兼任する新作映画『The Thomas Crown Affair(原題)』の初予告編が公開され、映画ファンの注目を集めている。

本作は、スティーブ・マックイーン主演の1968年作品『華麗なる賭け』を源流とする犯罪ロマンス。1999年にはピアース・ブロスナン主演で『トーマス・クラウン・アフェアー』として再映画化されており、今回がハリウッドにおける2度目の本格リメイクとなる。Amazon MGM Studiosは、2027年3月5日に世界の映画館で公開すると発表している。

しかし、今回の予告編から見えてくるのは、過去作の成功をなぞるだけの企画ではない。

「大富豪が刺激を求めて犯罪に手を染める」という旧来の物語を、現代の観客が共感できる目的を持った物語へ変えようとしているのだ。

初予告編で描かれた“完璧すぎる強盗計画”

公開された映像では、ジョーダン演じる大富豪トーマス・クラウンが、美術館の厳重な警備を突破し、ゴッホの「ひまわり」を思わせる絵画を狙う姿が映し出される。

高層ビルからワイヤーで降下する場面、レーシングカーを操る場面、空中へ身を投げ出す場面など、従来の作品よりアクション性が大幅に強化されていることも特徴だ。

一方で、クラウンを追跡する調査員役のアドリア・アルホナとの間には、犯罪者と追跡者という関係だけでは説明できない危険な緊張感が漂う。強盗映画、アクション映画、官能的な恋愛映画という三つの魅力を、約90秒の予告編に凝縮した構成となっている。

重要なのは、クラウンが単にスリルを味わうためだけに盗みを働いているようには見えないことだ。

予告編では復讐や奪還を思わせる要素が提示されており、彼の犯罪には、過去に不当に持ち去られた美術品や文化財を取り戻すという目的がある可能性も示唆されている。海外メディアでも、今回のクラウンは「現代的な反植民地主義の人物」として再構築されていると報じられた。

“金持ちの道楽”から“文化財を取り戻す犯罪者”へ

1968年版のトーマス・クラウンは、退屈を持て余した富豪として銀行強盗を計画する人物だった。

1999年版では銀行から美術館へ舞台が移り、ピアース・ブロスナン演じるクラウンがモネの絵画を盗む物語へ変更された。どちらにも共通するのは、財産を得る必要のない大富豪が、危険そのものを娯楽として楽しむという設定である。

ところが、格差や文化財返還をめぐる議論が広がる現在、富豪が暇つぶしで高価な美術品を盗むだけでは、主人公として支持されにくい。

そこで新作は、クラウンを単なる怪盗ではなく、「誰が芸術を所有する権利を持つのか」を問いかける人物へ更新しようとしているのではないか。

これは現時点での予告編からの推測にすぎないが、もし本編でもこの方向性が貫かれるなら、本作は強盗映画の快楽と、美術館やコレクションの成り立ちをめぐる社会的テーマを両立させる作品になるだろう。

マイケル・B・ジョーダンが監督・主演を兼任する意味

本作で最も大きな話題は、マイケル・B・ジョーダンが主演だけでなく、監督と製作も務めている点だ。

脚本は『フォールガイ』のドリュー・ピアースと『アメリカン・スナイパー』のジェイソン・ホールが担当。共演にはアドリア・アルホナ、ケネス・ブラナー、リリー・グラッドストーン、ダナイ・グリラ、ピルー・アスベックらが名を連ね、音楽はジョン・バティステが手掛ける。

ジョーダンにとって本作は、『クリード 過去の逆襲』に続く長編監督作となる。

俳優が自ら主演作を監督する場合、その作品はスターとしてのイメージを再設計する機会にもなる。今回のジョーダンは、肉体的な強さを前面に出したアクションスター像に加え、知性、危険性、色気を備えた古典的な映画スターの領域へ踏み込もうとしている。

トーマス・クラウンという役は、犯罪者でありながら観客に嫌われてはいけない。圧倒的に裕福でありながら、その人物をもっと見ていたいと思わせなければ成立しない。

監督と主演を兼任することで、ジョーダンは自らのスター性を作品全体の演出に組み込める。その点でも、本作は彼のキャリアにおける重要な勝負作になりそうだ。

アドリア・アルホナが握るリメイク成功の鍵

『The Thomas Crown Affair』シリーズの魅力は、巧妙な強盗だけではない。

クラウンと彼を追う女性調査員が、互いの正体や目的を理解しながら接近していく、大人の恋愛ゲームこそが物語の中心にある。

新作でクラウンの相手役を務めるのは、『ANDOR』や『ヒットマン』で評価を高めたアドリア・アルホナだ。予告編でも、クラウンに振り回されるヒロインではなく、彼の知性や魅力と正面から渡り合う存在として描かれている。

1999年版が現在も支持される理由の一つは、ピアース・ブロスナンとレネ・ルッソによる成熟した駆け引きだった。特に同作は、衣装や高級空間を含めた洗練された映像表現でも、長年にわたってファッション界へ影響を与えてきた。

新作が過去作を超えるためには、アクションの規模だけでなく、ジョーダンとアルホナの間に、観客が信じられる化学反応を生み出せるかが重要になる。

Amazon MGMが劇場公開に力を入れる象徴的作品

Amazon MGM Studiosは、本作を2027年3月5日から世界の映画館で公開する予定だ。

同社は『The Thomas Crown Affair』以外にも、『Verity』『How to Rob a Bank』『Spaceballs: The New One』など、複数の劇場向け作品を準備している。配信企業を母体としながら、映画館でイベント性を生み出せる作品への投資を拡大していることが分かる。

美術、ファッション、海外ロケーション、カーチェイス、ロマンスを組み合わせた本作は、大きなスクリーンでこそ魅力を発揮しやすい。

同時に、有名タイトルを再利用しながら、主人公の人種や犯罪の目的、社会的背景を更新する企画でもある。成功すれば、古典作品のリメイクに必要なのは表面的な現代化ではなく、「現在の観客がその主人公を見たいと思う理由」を作り直すことだと証明するだろう。

『The Thomas Crown Affair』はリメイク疲れを覆せるか

近年のハリウッドでは、過去の人気作や有名IPを再利用する企画が相次いでいる。その一方で、タイトルの知名度だけに依存した作品には、観客から厳しい目が向けられるようになった。

マイケル・B・ジョーダン版『The Thomas Crown Affair』が興味深いのは、過去作の象徴だった優雅さ、犯罪、恋愛を残しながら、盗みの意味そのものを変えようとしている点だ。

富豪が退屈を紛らわせる物語から、芸術の所有権や歴史への復讐を背負った物語へ。

初予告編を見る限り、これは単なる『華麗なる賭け』の再映画化ではない。マイケル・B・ジョーダンが、自らのスター像と古典的な怪盗映画を同時に作り替えようとする、野心的なプロジェクトである。

2027年を代表する犯罪エンターテインメントになれるのか。まずは日本版タイトルや国内公開情報を含む、今後の続報に期待したい。