東映アニメーション創立70周年、「7月31日」が記念日に――『白蛇伝』から世界市場へ、日本アニメ映画の転換点

2026年7月31日、日本を代表するアニメ制作会社・東映アニメーションが創立70周年を迎えた。

同日には、創立日である7月31日が「東映アニメーションの日」として正式に認定されたほか、70周年記念スペシャルムービーや特設サイトも公開。映画ファンにとっては、単なる企業の周年行事ではなく、日本のアニメーション映画がどのように生まれ、世界規模の産業へ成長したのかを振り返る重要な節目となっている。

7月31日が「東映アニメーションの日」に認定

東映アニメーションは、1956年7月31日に「東映動画株式会社」として誕生した。1998年に現在の社名へ変更し、2026年で創立70周年を迎えている。

今回、一般社団法人日本記念日協会によって、創立日である7月31日が「東映アニメーションの日」として正式に認定された。

70周年のキャッチフレーズは、「アニメに愛を、世界に夢を。」

過去の作品を懐かしむだけではなく、日本で育てたアニメーション文化を次の世代、そして世界へ広げていく意思が込められた言葉だ。

毎年7月31日になると、SNS上で『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『プリキュア』など、それぞれの世代が親しんできた作品の思い出が語られる――。今後、「東映アニメーションの日」は、幅広い年代のアニメファンが作品との記憶を共有する日として定着する可能性がある。

東映アニメーションの原点は「映画」だった

現在の東映アニメーションには、テレビシリーズを長期間展開する制作会社というイメージも強い。

しかし、その歴史の大きな原点となったのは劇場用アニメーション映画だ。

同社は1958年、国産初の長編カラーアニメーション映画『白蛇伝』を製作した。その後も『少年猿飛佐助』『西遊記』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『長靴をはいた猫』『銀河鉄道999』など、後世のクリエイターやアニメ文化に影響を与える作品を送り出してきた。

2026年3月31日までに東映アニメーションが手掛けた作品数は、テレビアニメ247作品、劇場アニメ278作品に達する。

テレビ作品よりも劇場作品の本数が多いという数字からも、映画が同社の歴史においてどれほど重要な存在だったのかが分かる。

現在、日本のアニメ映画は国内興行だけにとどまらず、北米、ヨーロッパ、アジアなどで同時期に上映される世界的コンテンツとなった。その土台の一部は、東映動画時代から続く長編アニメーションへの挑戦によって築かれたといえるだろう。

70周年は「過去の名作」と「現在のIP」をつなぐ企画に

今回の70周年施策で注目したいのは、歴史的作品を単なる過去の資料として扱っていないことだ。

東映ビデオからは、『少年猿飛佐助』『西遊記』を含む長編映画5作品のBlu-ray発売が予定されている。さらにGakkenからは、作品が完成するまでの過程を関係者への取材を通じて描く、アニメ制作レポートコミックも展開される予定だ。

国立映画アーカイブでは、2026年7月21日から9月6日まで、約50作品を上映する企画「フィルムでみよう!東映アニメーション」も開催されている。

劇場アニメだけでなくテレビアニメもフィルムで上映され、一部作品では今回の企画のために作られたニュープリントが使用される。デジタル配信が主流となった時代に、公開当時に近い上映形態で作品を体験できる貴重な機会だ。

名作を高画質商品として再販売し、映画館ではフィルム上映を行い、さらに制作背景をコミックで伝える。

こうした複数の入口を用意することで、かつて作品を見た世代だけでなく、名前しか知らなかった若い観客にも接点を作ろうとしている。

70周年の裏側で進む「世界企業」への転換

東映アニメーションの70周年が注目されるもう一つの理由は、同社が日本国内中心の制作会社から、世界市場でIPを運用する企業へ変化していることにある。

2026年3月期の連結売上高は936億6,900万円。売上高は前期を下回った一方、親会社株主に帰属する当期純利益は250億7,000万円となり、過去最高を更新した。

また、海外売上比率は63%まで上昇している。『THE FIRST SLAM DUNK』や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』など、前期の映画関連収入が大きかった反動を、『ONE PIECE』や『ドラゴンボール』などの海外商品化権販売が補ったと分析されている。

ここから見えてくるのは、現代のアニメ映画ビジネスが「劇場でヒットして終わる」ものではなくなったということだ。

映画公開を起点に、配信、ゲーム、グッズ、イベント、常設店舗、海外ライセンスへと展開する。作品が長く愛されるほど、次の映画やシリーズへの期待も高まり、IP全体の価値が上昇していく。

映画の興行収入は公開時期や競合作品によって変動するが、世界各地で商品やサービスを展開できれば、ヒット作品の人気を長期間にわたって収益へ結び付けられる。東映アニメーションの現在地は、日本の映画会社やアニメスタジオが目指す一つのモデルケースになっている。

次の10年、東映アニメーションに期待されるもの

創立70周年を迎えた東映アニメーションにとって、次の課題は過去の成功を守るだけではない。

第一に、歴史的な劇場作品の保存と再発見だ。フィルムの修復や高画質化、劇場での再上映を続けることで、古い作品を新しい観客へ届けられる。

第二に、映画館で見る意味をさらに強くすることだ。配信サービスが普及した現在、劇場版には大画面、音響、観客同士の熱気を含めた「イベント」としての価値が求められている。

第三に、海外ファンとの距離を縮めることだ。日本で制作した作品を単純に輸出するだけでなく、地域ごとの文化や視聴習慣を理解しながら、劇場公開、配信、商品、イベントを組み合わせる必要がある。

70周年記念企画は、その新しい時代へ向けた助走と見ることもできる。

まとめ

東映アニメーションが創立70周年を迎え、7月31日が「東映アニメーションの日」に認定された。

『白蛇伝』から始まった長編アニメーションへの挑戦は、数多くの劇場作品やテレビシリーズへ受け継がれ、現在では世界規模のIPビジネスへ発展している。

今回の周年企画が示しているのは、70年分の歴史を展示して終わるのではなく、過去の作品を新しい観客へ届け、次の作品やビジネスへつなげようとする姿勢だ。

日本のアニメ映画は、これからどこまで世界へ広がるのか。

東映アニメーションの70周年は、その未来を占ううえでも見逃せない転換点となりそうだ。