地球で友達を探す宇宙人。朝が来ない街でゲームに参加する少女。そして、人類が滅びたあとの世界をワゴン車で旅するヴァンパイア。
『GROTESQQQUE-グロテスク-』は、舞台も絵柄も異なるこの3編を、ひとつの映画に収めています。錦織敦史監督が3編に通わせたのは、社会の中心から離れたところにいる少女たちと、彼女たちを取り巻く世界との距離です。 MANTANWEB(まんたんウェブ)
自分を迎え入れてくれる人を探すところから、すでにそばにいる人とどんな時間を過ごせるかへ。編が進むにつれ、「居場所」の意味が変わっていきます。
『GROTESQQQUE-グロテスク-』の作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本公開日 | 2026年11月6日 |
| 上映時間 | 104分 |
| 監督・脚本・キャラクター原案 | 錦織敦史 |
| アニメーション制作 | CloverWorks |
| 配給 | ANIMEC |
各編の設定は映画公式サイトのあらすじに基づきます。 movie-gtq123.com
『エリィアンズ』|エリーはなぜ侵略者と疑われるのか
エリーは、地球の文化が大好きな宇宙親善大使です。宇宙局の職員・國蔵謙人の手を借り、地球で友達を探します。ところが、物質を取り込んで融合するエリーの力は、ときに制御を離れます。異星人への不安が広がる地球で、彼女は侵略者かもしれないと疑われます。 movie-gtq123.com
宇宙親善大使という肩書があれば、地球に来る理由はできます。けれど、友達をつくるには、誰かがエリーの力や肩書の向こうにいる本人に関心を持つ必要があります。地球にとっては外交の相手である少女が、地球の人たちと日常を楽しみたがっている。その食い違いが、このコメディの出発点です。
そこで國蔵がエリーの友達探しに付き合うことに意味が出ます。宇宙局で異星人に関わる仕事をしている彼が、今度は一人の少女が何を面白がり、誰と仲良くなりたいのかを間近で知っていく。地球がエリーの居場所になる可能性は、こうした小さな関わりから開けるのだと思います。
『夜露死駆★少女』|ゲーム「QoB」で少女たちは何を求めるのか
朝の来ない街〈GALs TOKYO〉に集まるのは、現実で行き場を失った「ギャルP」と呼ばれる少女たちです。不登校のステラは都市伝説を耳にし、勝者がクイーンになるゲーム〈クイーン・オブ・バタフライ〉、通称QoBに参加します。そこで出会う「名無し」は、SSSランクの武器を持つ正体不明のプレイヤーです。 movie-gtq123.com
「名無し」という呼び名と、武器についたSSSというランクが同居しているのが、この街らしいところです。相手の素性が謎のままでも、装備や戦い方から、その人がどんなプレイヤーかは伝わります。ステラが入っていくのは、日常とは別の基準で自分を見てもらえる場所です。
一方で、少女たちが集まれる街には、誰が一番強いのかを決める仕組みがあります。ゲームで名前を知られることと、勝敗にかかわらずそこにいていいと思えることのあいだには、まだ隔たりがある。行き場を求める少女たちが競い合うという設定には、その緊張が宿っています。
『ノクターン~このグロテスクな夜に~』|アヤメにとって永遠とは
人類が滅びた世界で、純血のヴァンパイアであるアヤメは、彼女に吸血されて生き延びたシオンたち3人と旅を続けています。ワゴン車で移動する彼女たちの目には、夜空の星や黄金色の草むらが鮮やかに映ります。人間の文明が失われた土地に、4人の日常があるのです。 movie-gtq123.com
シオンは、永遠を生きるアヤメの目に孤独を感じ取ります。今は同じ車に乗って同じ夜を眺めていても、果てのない時間をどう受け止めるかは、一人ひとりで違います。シオンがアヤメの孤独に気づくのは、旅の仲間として、その時間の長さを想像しようとする瞬間にも見えます。 movie-gtq123.com
ワゴン車という舞台が、この関係によく合っています。変わり続ける窓の外の景色と、車内で時間を分け合う4人。移動を続ける車が、彼女たちの居場所になっていると読めます。
なぜ3編をひとつの映画にしたのか
錦織監督によると、当初は中編を1本作る計画でした。試したい絵柄や映像表現を整理するうち、一作に収めるのが難しいと考え、複数の短編を提案したそうです。異星人のコメディ、ゲームのバトルロワイヤル、ヴァンパイアのロードムービーと、作品ごとに異なる表現を試せる形です。 MANTANWEB(まんたんウェブ)
観る順番にも狙いがあります。監督は『エリィアンズ』と『夜露死駆★少女』に歌入りの曲を多く使い、『ノクターン』はインストゥルメンタルを中心に組んだと語っています。前半2編の勢いを、最後の1編で受け止め、静かな余韻へつなぐ構成です。 MANTANWEB(まんたんウェブ)
『夜露死駆★少女』では、少女たちの強さが武器や戦いに表れます。そのあとに『ノクターン』が来ると、観客が見るものは、夜の風景や仲間の顔に浮かぶ感情へと移っていきます。何に目を凝らすかが編をまたぐたびに変わる。その変化が、3編を通して観る面白さだと思います。
タイトル『GROTESQQQUE-グロテスク-』の意味
英字のタイトルにはQが三つ並び、公式サイトでも各編をQ1、Q2、Q3と表記しています。ひとつの題名に三つの物語が収まる、本作の形を思わせる綴りです。 movie-gtq123.com
錦織監督は題名に複数の意味を込めたうえで、オリジナルアニメを3本作り、ひとつの劇場作品として届けるという、企画そのもののいびつさも指していると話しています。そこまでして作ろうとした自分への自嘲も含まれているそうです。 news.denfaminicogamer.jp
作中に引き寄せて読むと、最初の編と最後の編では、観客が世界を見る位置が変わります。『エリィアンズ』で出会うのは、エリーの力を恐れる地球の人々の視線です。『ノクターン』では、ヴァンパイアの目を通すと、荒れ果てた土地にも鮮やかな色が見えてきます。3編を観終えて題名に戻ると、何が異様に見えたかと同時に、誰の目で世界を見ていたかが気になってきます。
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