映画『スマイル2』ネタバレ考察|どこまでが現実?幻覚・前作とのつながり・ラストの意味を解説

※この記事には、映画『スマイル2』(2024年)と前作『SMILE/スマイル』(2022年)の結末を含む重大なネタバレがあります。作中で示される出来事、監督の発言、それらを踏まえた解釈を分けて考察します。

助けてくれた友人が、隣にいる。ところが、その友人から電話がかかってくる。

『スマイル2』は、主人公スカイが頼りにしていた人間関係も、自分で選んだと思っていた行動も、後から疑わしくなる映画です。救いへ近づいたはずの道のりが、最後には満員のライブ会場へつながってしまう。

ジェマは実在しなかったのか。母親は本当に死んだのか。モリスの計画は実行されたのか。そして、ステージを見ていた観客全員に呪いが移ったのでしょうか。

結末を理解する鍵は、スカイが体験している世界と、その間に現実で起きている出来事を分けることです。まずラストの事実を整理し、現実と幻覚が崩れていく過程を読み解きます。

結末の真相|スカイは生還せず、観客の前で命を落とす

スカイは、終盤の冷凍室で呪いを断ち切れたわけではありません。

最後に彼女がいるのは、ツアーのステージです。怪物に身体を支配されたスカイは、不気味な笑顔を浮かべ、マイクで自分を傷つけて命を落とします。その最期を、多数の観客が目撃します。ComicBook.com

主な疑問を整理すると、次のようになります。

疑問結末から分かること
スカイは助かったのか助からず、ステージ上で命を落とす
ジェマは実在しないのかジェマ本人は実在するが、スカイに寄り添っていた姿は怪物による幻覚
母親は死亡したのかラストでは生存しており、施設での死は現実の出来事として否定される
モリスの計画は成功したのか成功は描かれず、冷凍室での出来事も現実ではなかったと分かる
観客全員に呪いが移ったのか大規模な拡散を示唆するが、個々の観客への感染は描かれない

ジェマからの電話と、ステージから見える母親の姿が、スカイの信じていた出来事を覆します。The Direct

本作は、次の犠牲者を一人だけ示して終わる前作から、同時に大勢の目撃者を生む結末へ進みます。その変化によって、呪いの先を見通せない恐怖が残るのです。

『スマイル2』の基本情報とあらすじ

項目内容
原題Smile 2
製作年2024年
監督・脚本パーカー・フィン
主演ナオミ・スコット
主人公スカイ・ライリー
上映時間127分
ジャンルホラー、スリラー

作品情報は、Paramount Picturesの公式ページを参照しています。Paramount Pictures

世界的なポップスター、スカイ・ライリーは、復帰ツアーを目前に控えています。しかし、華やかな活動の裏では、過去の事故や身体の痛み、復帰への重圧を抱えています。

ある夜、知人ルイスのもとを訪れたスカイは、彼が不気味に笑いながら命を絶つ場面を目撃します。その日から、説明のつかない異変が続くようになります。Wikipedia

周囲に求められるのは、復帰したスターとしての姿です。スカイが恐怖を訴えても、それが仕事への支障や体調の問題として扱われてしまう。このずれが、彼女の孤立を深めていきます。

前作とのつながり|ジョエルはなぜ冒頭で死んだのか

『スマイル2』の冒頭は、前作の主人公ローズが亡くなってから6日後です。

ローズの最期を目撃したジョエルは、呪いを引き継いでいます。彼は、殺人を別の人間に目撃させることで、自分から呪いを移そうとします。

しかし、狙っていた目撃者まで銃撃で死んでしまいます。その場には、ジョエルが気づいていなかったルイスが居合わせており、呪いは彼へ移ります。ジョエル自身は逃走中、車にはねられて死亡します。Wikipedia

したがって、ジョエルの死は、前作のローズと同じ最期ではありません。呪いを引き継ぐ目撃者が生まれたあとで、彼は交通事故に遭っています。

この冒頭から、ルイスの死を目撃したスカイへ、物語がつながります。前作で示された連鎖が、新しい主人公の日常へ入り込んでいくのです。

ジョエルは、ルールを知り、対策を立てた人物でした。それでも、その場にいる人間も、逃げた先の道路も、思いどおりにはなりません。冒頭には、呪いへの知識を持っていても、自分の運命全体を制御できるわけではないという厳しさがあります。

前作の結末と呪いのルールは、『SMILE/スマイル』の考察記事でも詳しく解説しています。

幻覚はどこから始まった?|ダンサーの襲撃が大きな境目になる

スカイは、ルイスの死を目撃したあとから幻覚に苦しめられます。ただし、幻覚が混ざり始める時点と、長い一連の出来事が現実から切り離される時点は、分けて考える必要があります。

後者の大きな境目として読めるのが、アパートでダンサーたちに襲われる場面です。

彼らはスカイを取り囲み、最後には腕が彼女の喉へ入り込みます。その後、施設での母親の死、脱出、ジェマとの移動、冷凍室での処置へと続きますが、結末はその流れを覆します。

喉への侵入は、身体の主導権を奪われる映像として、前作の終盤とも響き合っています。この場面以降、スカイは怪物の作る世界へ深く閉じ込められた、と解釈できます。Den of Geek

ただし、これは場面の連なりを踏まえた読みです。パーカー・フィン監督はThe Directのインタビューで、現実から離れる具体的な瞬間を自分の中では定めていると話しながら、その場面を明言していません。thedirect.com

そのため、映画全体を「最初からすべて幻覚だった」と片づけると、ルイスからスカイへ呪いが移る出来事まで曖昧になってしまいます。

本編が明確に覆す出来事を押さえ、その前後の境界には解釈の余地を残す。そう読むことで、仕掛けと人物の悲劇を両方追うことができます。

ジェマの正体|実在する友人の姿で、安心を与えていた

ジェマという人物そのものが、存在しないわけではありません。

終盤、スカイの隣にジェマがいるはずなのに、本人から電話がかかってきます。その会話で、本物のジェマとはまだ関係を修復できていなかったことが分かります。スカイが再会し、一緒に過ごしていたつもりのジェマは、怪物が見せた幻覚でした。The Direct

この仕掛けの残酷さは、怪物が安心できる相手の姿を使っている点にあります。

スカイは、仕事のために自分を管理する人々から離れ、友人に理解してもらおうとします。ジェマと和解できたと思うことで、少しだけ心を休められる。ところが、その支えも怪物が用意したものでした。

ここでは、恐怖を見せることと、希望を与えることが、同じ相手によって行われています。

安心を得たと思った瞬間まで疑わしくなるため、スカイには逃げる方向を選ぶ手がかりが残りません。ジェマの姿は、人間関係を頼りに現実を確かめることまで難しくしているのです。

母親は本当に死んだ?|施設での惨劇は、結末で覆される

施設の場面では、母親エリザベスが死亡したように見えます。さらに、スカイ自身が母親を傷つけたと思わせる映像へと変わります。

しかし、ラストのライブ会場には、生きているエリザベスがいます。施設で母親が死んだという出来事は、現実として受け取れません。ComicBook.com

この幻覚は、スカイと母親の間にある緊張を利用しています。

エリザベスは、母親であると同時にマネージャーでもあります。娘を心配する立場と、復帰を進める立場が重なることで、スカイは苦しみを伝えても仕事から離れにくくなっています。

母親役のローズマリー・デウィットも、娘をスターとして働かせ続ける役割について、Moviefoneのインタビューで語っています。Moviefone

その関係を踏まえると、母親を傷つけたと思わせる幻覚には、スカイの反発と罪悪感を同時に刺激する意味があると読めます。

母親の死が現実ではなかったとしても、スカイがその時間に感じた恐怖は消えません。怪物は、彼女が実際には行っていないことまで、自分の責任として背負わせようとするのです。

モリスは実在する?|バーでの提案と、冷凍室の出来事を分ける

モリスは、呪いで兄弟を失い、その連鎖を追っている救急看護師として登場します。

彼は、怪物が宿主を必要とする存在なら、スカイの心臓を一時的に止め、その後に蘇生することで、呪いを断てるのではないかと提案します。これは、作品内で提示される仮説です。ComicBook.com

ここで分けたいのは、前半のバーでの会話と、終盤の冷凍室での出来事です。

冷凍室で計画を実行するはずだった場面は、ステージへの転換によって現実ではなかったと分かります。しかし、そのことだけで、最初に会ったモリスまで存在しなかったと確定するわけではありません。

モリス本人が実在することと、怪物が彼の姿を幻覚に使うことは、両立します。ジェマの例と同じように、人物の存在と、スカイが体験した個々の場面を分けて読む必要があります。

また、処置によって呪いを消せた例は、本作では描かれません。そのため、「計画を実行すれば必ず助かった」「実行しても絶対に失敗した」と、どちらも断定できません。

この未検証の計画が、スカイには最後の希望になります。終盤で奪われるのは、生き延びる可能性に加え、自分で解決へ向かっているという感覚でもあるのです。

ラストで観客全員に呪いが移ったのか

前作から描かれてきた呪いでは、凄惨な死の目撃が、次の対象を生むきっかけになります。

『スマイル2』のラストには、その目撃者が大勢います。ステージという設定は、一対一で続いてきた連鎖が、大規模に広がる可能性を生みます。

ただし、観客全員が同時に呪われた場面や、その後に亡くなる場面は描かれていません。

フィン監督もThe Directのインタビューで、怪物が複数の人間へ同時に取りつけるかという質問に、明確な答えを示していません。したがって、集団への感染は強い示唆として受け取り、確定したルールとは分けるのが適切です。thedirect.com

スマートフォンで撮影された映像や、配信を通じて見た人まで呪われるかも、実証されていません。監督はEntertainment Weeklyで、ライブ配信によってどこまで広がり得るかという問いに触れていますが、感染条件を確定してはいません。ew.com

この結末は、呪いの広がりを想像させたところで終わります。観客は次の犠牲者を数えられず、恐怖の規模だけが、それまでより大きくなっているのです。

なぜ主人公はポップスターなのか|注目されていても、苦しみは届かない

スカイには、ファンも、スタッフも、家族もいます。それでも、自分の苦しみを理解してもらうことは難しい。

フィン監督はMoviefoneで、世界的に有名でありながら、深く孤独な人物の舞台裏を描きたかったと説明しています。Moviefone

この説明を踏まえると、ポップスターという設定は、彼女の孤立を際立たせるものとして読めます。

人々が見たいのは、復帰したスターの歌とパフォーマンスです。一方、スカイが伝えたいのは、身体の痛みや恐怖、まだ整理できない過去です。注目が集まるほど、期待に沿った姿を保つことも求められます。

彼女の不調は周囲から見えるのに、その内側で何が起きているかは届かない。このずれが、本作の恐怖を支えています。

また、事故の回想では、スカイ自身の行動が恋人ポールの死につながったことが示されます。彼女には、単に周囲が理解してくれないという事情だけでは語れない、過去への責任があります。Wikipedia

しかし、怪物がその責任を公正に裁く存在だとは説明されていません。呪いが移ったきっかけはルイスの死の目撃であり、過去の行為に対する判決ではありません。

怪物は、スカイがすでに抱えていた痛みと罪悪感を、現在の恐怖へ結びつけます。過去を隠しながら復帰しようとする彼女は、怪物によって、その隠したい部分へ何度も引き戻されるのです。

ダンサーの場面の意味|仕事のための身体が、逃げられない身体になる

アパートに現れるダンサーたちは、笑顔のまま、集団でスカイへ迫ります。

フィン監督はEntertainment Weeklyで、スカイの振り付けを暗く不気味な方向へ変えたことを説明しています。身体の動きを使って、本作の舞台に固有の恐怖を作った場面です。ew.com

普段のスカイにとって、ダンスは観客へ何かを届けるための表現です。しかし、この場面では、周囲の身体が自分の動きを妨げ、逃げ道を塞ぎます。

息を合わせていたはずの集団が、自分を取り囲む集団へ変わる。その変化は、仕事を続けるための環境が、休むことも離れることも許さない圧力に感じられる、スカイの状況と重なります。

とりわけ喉へ腕が入り込む映像には、自分の身体を自分のものとして保てなくなる怖さがあります。歌うための身体が、怪物に使われる身体へ近づいていく場面として読むことができます。

マイクと観客の意味|声を届ける道具が、最期の道具になる

スカイにとって、マイクは歌を届けるための道具です。その道具が、ラストでは彼女の命を奪うものになります。

この反転によって、スターとしての活動と、怪物に利用されることが、同じステージ上で重なります。スカイは大勢の前に立っていますが、何を届けるかを自分で決める力を失っています。

さらに映画は、彼女の最期に立ち会う観客の反応を映します。ここで、画面の中の観客と、映画を見ている私たちの位置が近づきます。

フィン監督は/Filmのインタビューで、会場の観客が映画館の観客を見つめるような結末を作り、スターの転落を見る側の関わりを問いかけたかったと語っています。slashfilm.com

その意図を踏まえると、ラストは、スカイに起きた惨劇を外から眺めて終わることを難しくします。私たちも、彼女の苦しみを映像として見続けてきたからです。

もちろん、会場のファン全員に悪意があったとは描かれていません。彼女を応援するために集まった人々も、目撃者になる。その悲劇によって、スターを支える視線と、スターの苦しみを見世物にする視線の境界が揺さぶられます。

『スマイル2』のよくある疑問

前作を見ていなくても理解できますか?

スカイを中心とした物語は追えます。ただし、冒頭のジョエルの行動と、呪いの受け渡しを理解するには、前作を見ておく方が分かりやすいでしょう。

笑顔を見ただけで呪われるのですか?

そういうルールは示されていません。物語で確認できる連鎖は、凄惨な死の目撃を通じて続いています。不気味な笑顔は、怪物の存在や支配を示す表情です。

冷凍室での注射によって、スカイは助かったのですか?

助かっていません。冷凍室での出来事は現実ではなかったと覆され、最後にはステージで命を落とします。モリスの方法の有効性も、作中では確認されません。

怪物は最初からスカイを狙っていたのですか?

大勢の目撃者を生めるスターを利用する計画だった、という解釈はできます。ただし、ルイスへの接触より前から、すべてを計画していたと証明されるわけではありません。ラストで生じた結果と、怪物が当初から持っていた意図は分けて考える必要があります。

『スマイル2』が残す、自分の人生を取り戻せない恐怖

『スマイル2』では、スカイが助けを求め、逃げようとし、対策を選んだと思うたびに、その足場が崩れます。

ジェマとの和解も、母親からの脱出も、モリスとの計画も、彼女を現実へ戻す道にはなりませんでした。最後に立っていた場所は、周囲が復帰を望んでいたステージです。

その結末には、恐怖から逃げる自分の行動さえ信じられなくなる苦しさがあります。自分の意思で進んでいたと思う時間に、身体は別の結末へ向かっていたのです。

ラストの笑顔は、スカイが安心を取り戻した証拠ではありません。彼女の顔も、声を届ける道具も、怪物に使われています。

そして、その光景を見た大勢の人々が残される。個人の苦しみと、スターの影響力が、呪いの連鎖の中で結びつくことが、本作の結末をいっそう恐ろしいものにしています。

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