2025-09

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』考察と批評|境界線を越える者たちの葛藤と選択を読み解く

メキシコとアメリカの国境を舞台に、麻薬戦争とその裏にある国家の思惑を描いたクライム・サスペンス『ボーダーライン(Sicario)』。その続編である『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は、前作とは異なる監督・作風で制作され、物語の焦点も微妙...

『ヘレディタリー/継承』考察・批評|遺伝する恐怖と家族の崩壊を描く現代ホラーの傑作

アリ・アスター監督の長編デビュー作『ヘレディタリー/継承』(2018年)は、単なる「怖い映画」ではなく、観る者の精神を深く抉るような体験を提供します。「継承」という邦題が示す通り、この映画は血縁や家族に潜む恐怖を描いた作品であり、ジャンルの...

『バーフバリ2 王の凱旋』徹底考察と批評|壮大な映像美と王の運命に迫るインド映画の金字塔

インド映画史にその名を刻む超大作『バーフバリ2 王の凱旋』。前作『バーフバリ 伝説誕生』から続くこの壮大な物語は、王位継承をめぐる愛と裏切り、そして運命に立ち向かう者たちの姿をダイナミックに描いています。本記事では、映画をただのアクションフ...

映画『ナイスガイズ!』徹底考察|笑いと陰謀が交差するバディムービーの真髄とは?

1970年代のロサンゼルスを舞台に、まるで正反対の男たちが事件に巻き込まれていくバディ・ムービー『ナイスガイズ!』。本作はコメディ、アクション、ミステリー、ネオノワールといったジャンルを巧みに融合させながら、社会的な背景や人間ドラマを描き出...

『LOGAN/ローガン』徹底考察と批評|老いたヒーローが辿る最期の旅

スーパーヒーロー映画の中でも異色の傑作と評価される『LOGAN/ローガン』(2017年)。本作は「ウルヴァリン/ローガン」の最期を描く、X-MENシリーズの一つの到達点です。しかしその魅力は、単なるアクション映画に留まりません。老い、死、親...

『最後のジェダイ』徹底考察と批評|賛否が分かれた理由とスター・ウォーズらしさの再定義

スター・ウォーズ・サーガ第8作目『最後のジェダイ』は、公開当初からファンや批評家の間で賛否が激しく分かれる異色の作品として語られています。シリーズの中心人物であったルーク・スカイウォーカーの変貌、血統主義の否定、フォースの新たな捉え方など、...

『ラ・ラ・ランド』考察・批評|夢と現実の交差点に立つミュージカルの真実

2016年公開の映画『ラ・ラ・ランド』は、公開から年月が経ってもなお、多くの映画ファンに語られ続けている名作です。色彩豊かな映像、心を揺さぶる音楽、そして何よりも「夢を追うことの美しさと残酷さ」を描いたストーリーが、多くの人々の心に深く刻ま...

『ブレードランナー2049』徹底考察・批評|記憶と存在をめぐるSF映画の到達点

1982年に公開されたリドリー・スコット監督のSF映画『ブレードランナー』は、その独特な世界観と哲学的テーマで多くの映画ファンの心を掴みました。その続編となる『ブレードランナー 2049』(2017年)は、前作から35年後を舞台に、新たな主...

『ザ・コンサルタント』考察・批評|孤高の会計士が抱える正義と矛盾を読み解く

ベン・アフレック主演の映画『ザ・コンサルタント』(原題:The Accountant)は、一見するとアクションサスペンスに見えながら、実は非常に繊細で複層的な人間ドラマを内包した作品です。高機能自閉症の主人公が、会計士と暗殺者という相反する...

映画『夜は短し歩けよ乙女』徹底考察と批評|幻想の京都と恋の奇跡を読み解く

アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』(監督:湯浅政明)は、森見登美彦による同名小説を原作とし、2017年に公開された作品です。京都の夜を舞台に、少し不思議で、どこかロマンティック、そして何よりも自由奔放な物語が展開されるこの映画は、公開から数年...

【考察・批評】映画『サバイバル・ファミリー』が描く文明崩壊と家族の再生とは?

矢口史靖監督による2017年公開の映画『サバイバル・ファミリー』は、突然すべての電気が使えなくなるという“あり得ない状況”の中で、東京に住むごく普通の4人家族がサバイバルを強いられる物語です。一見するとユーモアを交えたホームドラマに見えます...

映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』徹底考察と批評|日本文化と家族の記憶を描く感動作

ストップモーションアニメの金字塔ともいえる作品『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は、ラ・カのスタジオが制作したファンタジー作品でありながら、深い家族愛や日本文化のエッセンスを巧みに織り込んだ異色の一本です。本記事では、ビジュアルの美しさ、文...

映画『沈黙 -サイレンス-』徹底考察と批評|信仰・葛藤・沈黙の本質に迫る

マーティン・スコセッシ監督による映画『沈黙 -サイレンス-』は、遠藤周作の同名小説を原作に、17世紀の日本を舞台とした宣教師の苦悩と信仰の葛藤を描いています。本作はその重厚なテーマ性、静謐な映像美、そして観る者に深い問いを投げかける構成によ...

『SING/シング』考察・批評|歌に込められた夢と再起の物語を読み解く

『SING/シング』は、2016年に公開されたイルミネーション・エンターテインメント制作のアニメーション映画であり、動物たちが音楽を通じて自らの人生を変えていく姿を描いた心温まる作品です。個性的なキャラクター、豊富な楽曲、そして心に響くメッ...

『パターソン』考察・批評|日常と詩が交差する静謐な傑作を読み解く

ジム・ジャームッシュ監督による映画『パターソン』(2016年)は、一見すると何も起こらない静かな物語だ。しかしその奥には、現代における「日常」の美しさと「詩」という表現が秘める力が、静かに、だが確かに描かれている。本記事では、この作品を読み...

映画『ハクソー・リッジ』徹底考察と批評|信念を貫いた“武器を持たぬ英雄”の真実

第二次世界大戦中、沖縄戦で75人もの命を救った衛生兵、デズモンド・ドスの実話を描いた映画『ハクソー・リッジ』。監督メル・ギブソンが手掛けたこの作品は、その圧倒的な戦闘描写と深いヒューマニズムで世界中の観客を驚かせました。本記事では、物語の構...

『ありがとう、トニ・エルドマン』考察と批評:笑いと違和感で描く父娘の再生物語

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』は、ドイツのマーレン・アーデ監督による異色のヒューマンドラマです。親子の関係性、仕事と自己、ユーモアの効用など、複雑なテーマが2時間40分という長尺の中に緻密に描かれています。今回はこの作品を「考察」「批...

映画『エル ELLE』徹底考察|ミシェルという女をどう受け止めるか——挑発と違和感が交錯する心理サスペンス

2016年に公開されたポール・ヴァーホーヴェン監督のフランス映画『エル(ELLE)』は、性的暴力という重く繊細なテーマを扱いながらも、観客の予想を大きく裏切る異色のサスペンス作品です。主演のイザベル・ユペールが演じるミシェルという女性は、強...

『アトミック・ブロンド』徹底考察と批評|スタイリッシュな暴力の裏にあるスパイの本質とは?

2017年公開の映画『アトミック・ブロンド』(原題:Atomic Blonde)は、シャーリーズ・セロン主演、デヴィッド・リーチ監督によるスパイ・アクション作品です。本作は、冷戦末期のベルリンを舞台に、二重スパイの正体を巡る謎と、スタイリッ...

【映画ムーンライト考察・批評】静かに心を揺さぶる傑作の本質を読み解く

2016年に公開された映画『ムーンライト(Moonlight)』は、アカデミー作品賞をはじめ数々の映画賞を受賞した名作です。監督バリー・ジェンキンスが描き出したのは、黒人として、ゲイとして、貧困層の出身者として、複数のマイノリティ性を持つ一...